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血液内科の病気について

2022年8月5日

【はじめに】

赤血球:
酸素を体中に運ぶ役割
白血球:
細菌やウイルスを退治する役割
血小板:
止血の役割

血液の中には赤血球、白血球、血小板と呼ばれる細胞があります。
これらの細胞は骨髄と呼ばれる骨の中の造血組織で作られています。
血液の病気になると主にこれらの細胞が減少したり、増加したりします。
次から血液の代表的な病気について見ていきます。

【血液の代表的な病気について】

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【1. 赤血球異常】

項目:赤血球の病気について~貧血~

症状

赤血球が減少する状態を貧血といいます。貧血が進行すると全身倦怠感、頭重感、めまい、耳鳴り、動悸、息切れなどがおこります。

原因

貧血の原因には主に以下の3つが挙げられます。

  • ①赤血球を造る材料・ホルモン(エリスロポエチン)の不足
  • ②赤血球を造る骨髄機能の異常
  • ③造られた赤血球が消費される

これらの原因を調べるためにまずは採血検査を行い、場合によっては骨髄検査が必要になります。

項目:代表的な貧血をきたす病気

貧血の原因毎に以下のような病気が挙げられます。

①赤血球を造る材料の不足

鉄欠乏性貧血、銅欠乏性貧血
ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血腎性貧血(エリスロポエチン不足)

②赤血球を造る骨髄機能の異常

赤芽球癆、再生不良性貧血
骨髄異形成症候群、急性白血病

③造られた赤血球が消費される

出血
自己免疫性溶血性貧血

項目:貧血の治療について

貧血の原因がどこにあるのかを採血や骨髄検査にて特定します。
原因が材料やホルモンの不足であれば不足しているものを補う治療を行います。また不足している原因を突き止める必要もあります(特に若い女性以外の鉄欠乏性貧血では胃がんや大腸がんが隠れていることがあり注意が必要です)。

骨髄機能異常や赤血球の消費(特に溶血による貧血)が原因の場合には免疫抑制剤・抗がん剤・輸血療法などの専門的治療が必要となることが多いです。

項目:赤血球の病気について~多血症~

症状

赤血球が増加する状態を多血症といいます。
多血症では無症状のことも多いですが、頭痛、めまい、ほてり、耳鳴り、赤ら顔などがみられることもあります。
最も注意が必要な合併症は血管が詰まる脳梗塞や心筋梗塞です。

原因

多血症の原因には以下の4つが考えられます。

  • ①造血組織である骨髄の異常(原発性赤血球増多症)
  • ②続発性(2次性)赤血球増多症
  • ③ストレス多血症
  • ④脱水症

項目:①造血組織である骨髄の異常(原発性赤血球増多症)

骨髄中の赤血球をはじめとする血球の元となる細胞(造血幹細胞)に、主にJAK2と呼ばれる遺伝子に異常が起こることで、赤血球の産生が腫瘍性に増加することで起こります。白血球や血小板も増加していることが多いです。

項目:②続発性(2次性)赤血球増多症

低酸素状態により酸素の運び役である赤血球を増やそうとして多血になります。
低酸素の原因には、肺の病気・喫煙・睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
その他には赤血球産生を亢進させるエリスロポエチン産生腫瘍が原因となります。

項目:③ストレス多血症(ストレス赤血球増多症)

主に男性で、肥満・高血圧・脂質代謝異常症などの合併がある方で、精神的ストレスがかかっている場合に起きやすい多血症です。

項目:④脱水症

感染症や熱中症などによる脱水で体内の水分量が減少している場合に、相対的に赤血球数の増加を認める状態です。

【2. 白血球の異常について】

  • 好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球の5つを合わせて白血球といいます。
  • 白血球数の異常が見られた際は、まずはどの白血球数が異常であるのかを確認する必要があります。

項目:白血球減少とその原因

  • 主に減少するのは好中球やリンパ球です。
  • 好中球減少は、急性白血病などの骨髄の病気、ビタミンB12などのビタミン不足、自己免疫疾患、薬剤性などが挙げられます。
  • リンパ球減少は再生不良性貧血などの骨髄の病気、ウイルス感染症、自己免疫疾患などが挙げられます。

項目:白血球増加とその原因

  • 主に増加するのは好中球、好酸球、リンパ球です。
  • 好中球増加は主に喫煙や感染症による反応性に増加します。また慢性骨髄性白血病などの血液の悪性腫瘍でも増加することがあり注意が必要です。
  • 好酸球はアレルギーと関連ある血球でアトピーや喘息の際に増加することがあります。その他にも自己免疫疾患や寄生虫感染症でも増加を認めます。
  • リンパ球増加は薬剤性などの反応性以外では、主に悪性リンパ腫や慢性リンパ性白血病の際に増加を認めるため注意が必要です。

項目:白血球異常の検査と治療

  • 採血検査にて白血球分画を含めて精査を行います。
  • 必要に応じて骨髄検査を行います。
  • リンパ節腫脹や脾臓の腫大を疑った場合にはCTやエコー検査を行います。時に針を穿刺したり、手術でリンパ節をとって病理学的検査をすることもあります。
  • 治療は病気の種類に応じて決定します。様子観察が可能なものから、内服薬や抗がん剤治療が必要なものもあります。
  • 健診などで異常を指摘されましたら、一度ご相談下さい。

【3.4. 血小板異常および凝固異常について】

症状

  • 血小板および凝固因子は出血時に止血のために働きます。破れた血管の穴を最初に埋める働きをするのが血小板であり(一次止血)、血小板の塊をより強固なものとして止血効果を安定化させるのが凝固因子です(二次止血)。
  • 血小板や凝固因子が減少すると血が止まりにくくなったり、時に誘因なく出血を来すことがあります。
  • 一方血小板増多は時に血液が血管の中で固まりやすくなり、血栓症を起こすことがあります。

項目:血小板減少の原因

血小板減少の原因は様々です。血小板は骨髄で造られますが、骨髄での血小板の産生に問題がある場合と、産生には問題がなく産生された血小板が消費されるために低下する病気があります。代表的な血小板減少を来す病気の一覧を下に示します。

消費の亢進(血小板産生に問題なし)産生の低下
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)巨赤芽球性貧血(ビタミンB12、葉酸不足)
SLEなど自己免疫疾患再生不良性貧血
播種性血管内凝固症候群(DIC)骨髄異形成症候群
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)肝硬変
機械弁や人工血管による破壊アルコール多飲
大量出血による喪失ウイルス感染症

項目:血小板増加の原因

血小板増多の原因は血小板の産生臓器である骨髄に問題がある場合(原発性)と、他に原因がありに骨髄で血小板の産生が増加する病気があります(反応性)。以下にそれぞれの代表的な病気を示します。

原発性では血栓症(脳梗塞・心筋梗塞など)のリスクが増加することが問題となります。一方で反応性では血小板の増多による血栓症が起こることは稀ですが、その原因の特定が必要で有り、原因に応じてその治療を行います。

原発性の血小板増多反応性の血小板増多
本態性血小板血症出血による反応性増多
真性多血症鉄欠乏性貧血
慢性骨髄性白血病感染症などによる反応性増多
骨髄線維症脾臓摘出術後

項目:凝固異常について

凝固因子の異常には主に凝固因子の欠乏が問題となります。筋肉内や関節内といった比較的体の深いところの出血が起こりやすいことが特徴です。

凝固因子が欠乏する病気には(先天性)血友病(生まれたときからある)や、成人以降に発症する後天性血友病があります。先天性血友病は遺伝的に凝固因子を造る遺伝子に異常があることが原因ですが、後天性の血友病は凝固因子を壊してしまう自己抗体が作られることが原因です。

その他にも血液検査(凝固検査)で異常を指摘されることをきっかけに、稀な血液凝固異常が見つかることがあります。

【5.血液腫瘍について】

血液腫瘍には大きく分けて3種類あります。

  • 白血病と呼ばれるタイプの腫瘍で、主に造血の場である骨髄で腫瘍細胞増加する病気です。腫瘍細胞の種類や経過の早さにより、急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病・慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病などがあります。
  • 悪性リンパ腫と呼ばれる腫瘍で、リンパ球が腫瘍化したリンパ腫細胞が主にリンパ節で増加する病気です。
  • 多発性骨髄腫と呼ばれる腫瘍で、免疫担当細胞である形質細胞が腫瘍化して主に骨髄で増加する病気です。骨髄中での腫瘍化した形質細胞は腫瘤を造り、骨をもろくして病的骨折を引き起こします。

【ひらファミリークリニックよりご案内】

健康診断などで血液に関する異常を指摘された場合は是非ご相談下さい。

院内でも多くの項目の血液検査ができるように検査機器を完備しており、できる限り当日検査結果をお伝えできるようにしています(一部詳細な検査が必要な場合は外注検査を行うため、後日の結果説明となります)。

ご不明点やご心配事がある方はクリニックまでご連絡下さい(052-325-4100)。